半世紀に渡る信頼の厚み。
大成建設と共に支える日本の
建設業界

京浜マリンエンジニアリングの歴史を語る上で欠かすことのできない、大成建設様との関わり。およそ半世紀という長い年月で、鋼構造物工事の領域において数々の現場を共にしてきました。大成建設執行役員の深澤氏は、弊社代表取締役の瀬戸が入社間もない頃から叱咤激励をいただいてきた恩師のような存在です。これまでの歴史を振り返り、未来の建設業界を考える対談インタビュー。

お取引の経緯

▷ 瀬 戸:大成建設様とのお取引の始まりは、創業者、つまり私の祖父にあたる瀬戸乙松が社長だった昭和46年のトンネル工事からだと聞いております。

▷ 深澤氏:そんなに昔になるのですね。かれこれ50年とは本当に長い付き合いになるんだなと実感します。その時の工事のことは当然私も話で聞いただけなのですが、旧日本鋼管構内の海底トンネル工事でしたよね。海洋トンネル工事というものは技術的には造船に近いものがあるので、当時造船技術では一定の評価を得ていた京浜マリンさんにお願いしようとなったみたいです。そのトンネルは「沈埋(ちんまい)工法」といって、陸上で造った函体を海に沈めて繋ぎ、トンネルにするという技術を使用しているのですが、その際、溶接・溶断による歪みが生じないようにしないといけない。これはかなり高度な技術を要します。溶接の品質が保たれないと水が入ってきてしまいますし、水圧もあるので強度も求められますからね。京浜マリンさんは造船業として創業し、海洋鋼構造物に関しては確実な技術を持っていると判断したから依頼となったのでしょう。

様々な工種に対応できる技術力

深澤氏:京浜マリンさんの造船で培った鍛冶・溶接の技術は当社でもトップクラスです。それはこれまでの仕事が証明してくれています。品質は安全にも直結するため、相談できるのはそれだけの信頼できる技術があるからです。また、社員の皆さんが向上心を持って純粋に仕事に向き合っている印象があります。静かに、熱いといった代々受け継がれている職人魂を感じます。

瀬戸:職人一人ひとりの技術は弊社の誇りです。その技術を活かして、現在では海洋土木工事のみならず、シールド工法による都市土木工事、橋梁工事、鉄道工事など多岐にわたっています。工期も様々で、数年がかりで行うような大規模な工事もありますし、数日で終わるような小規模な工事もあります。常に並行して複数の工事をお願いされている状況です。本当に光栄な話です。

深澤氏:京浜マリンさんには技術難度の高い工事や工期が厳しい工事などをお願いすることもありますが、難しい課題があったとしても、技術力で解決に導いてくれるので、私としても安心感があるのです。土木工事は様々な制約のもとで工事を行っているので、時には非常に厳しい局面を迎えることもありますが、そのような時こそ「共に乗り越えよう!」というマインドを共有できる大切なパートナーが必要不可欠です。京浜マリンさんは当社にとって大切なパートナーと言える存在です。

100年耐用の
空港滑走路拡張工事!
検査基準を満たすプレッシャー

瀬戸:私が専務時代の話になりますが羽田空港のD滑走路拡張工事がありました。平成20年頃の話になりますね。滑走路の工事はおそらく初めてだったと思います。多摩川の流れを堰き止めないよう、ジャケット工法という技術を用いての大規模な工事となりました。お引き受けしたのは良かったのですが、正直不安が大きかったのを覚えています。それこそ百人を超える職人さんの配置から作業の振り分けまで管理が必要でした。 弊社は社員50名程ですが、その人数では当然追いつかず、人脈を駆使して全国から職人さんを招集し、弊社からは総勢150名ほどが毎日現場に入りましたね。 しかし、本当に苦労したのは品質の部分です。この滑走路は100年耐用であり、疲労設計対象であったため、高い検査基準が設けられ、溶接量も膨大でした。本当に竣工できるのだろうかと不安になったこともあり、日々プレッシャーとの戦いでしたが何としてでもやり切ると社員一丸となって最後まで納めました。

深澤氏:なるほど。そんな苦労もあったのですね。羽田の現場は私の担当ではなかったのですが、瀬戸社長が指揮をとられていた様子を伺っていましたよ。 こちらの話としては、私が四国支店にいたときに、現地の工事で技術指導にあたってほしいと京浜マリンさんに相談したことがありました。技術者と営業の方を現地に派遣いただき、様々な知見をいただきました。その知見のおかげで無事に工事を納めることができました。 技術力はさることながら、社員のみなさんがいつも親身に対応してくださる。気持ちのいい方ばかりです。ですから、どのような難しい局面においても良い関係を保ちながら工事を納めることができる。それが、遥々四国までお越しいただいた理由と言えます。

国際プロジェクトにも計画段階から参画!
トルコのボスポラス海峡
横断トンネル工事

深澤氏:国際プロジェクトでも京浜マリンさんには協力していただきましたね。海峡における沈埋トンネルの工事だったので真っ先に「これは京浜マリンさんとやることになるな」と思いました。着工前の施工計画段階から手伝っていただき、着工後は現地にも赴いて技術指導をしてもらいましたね。この工事は我が社でも歴史に残る国際的なビックプロジェクトで、沈埋トンネルは世界最深度となる海中60mという大変な難工事でしたが、おかげさまで無事竣工することができました。

瀬戸:弊社としても国際的な事業に参画させていただけたことは初めての経験であり、大変ありがたく、また大きな誇りとなっております。

同じ目標に向かう「同志」

瀬戸:少し烏滸がましいのですが、一緒に物造りをしている感覚。同志に近いと私は思っています。どうでしょうか。

深澤氏:こちらも同じように考えていますよ。協力関係です。弊社には「倉友会」という協力会社のネットワークがあります。全国の協力会社様は3万社に上りますが、倉友会の会員はそのうちの600社程です。それぞれに支店ごとの管轄があり、東京支店でいうと土木では20社余りが会員となっています。それだけ深いお付き合いをしている限られた企業のみが入会でき、京浜マリンさんも会員企業ですね。

お互いの仕事を尊重し合っているということは常々感じています。私たちは大きな工事を実行する組織力があり、京浜マリンさんには施工計画に参画していただき現場で形にしていく技術力がある。それぞれの領域があって、時に化学反応を起こしながらさらに昇華していくという生産的な関係です。一緒にお仕事をするときはいつもワクワクしていますよ。

もちろんぶつかるときもあります。やり方の違い、考え方の違いでしょっちゅう言いたいことを言い合います。しかし、それは「良い物をつくろう」という共通の目標があるからこそのぶつかり合いです。遠慮なく意見を言い合えるというのは健全な関係ですよ。

今後の
京浜マリンエンジニアリングに
期待すること

深澤氏:まず、社長が若いというのがいいですね。 これは建設業全体に言えることですが、後継者不足でなかなか社長が代替わりせず、この会社の10年後、20年後はどうなってしまうんだろうと心配になる企業が多いのです。しかし、京浜マリンさんは数年前に代替わりして、会社としても益々新しいことに挑戦しています。今の時代は技術の革新が著しいので、私たちのように建設業界に従事している人間もテクノロジーに対しもっと貪欲に手をのばして活用していかなくてはなりません。時代の変化を柔軟に受け止め、会社も変わっていくべきですね。ですから瀬戸社長のように若い世代が業界に新しい風をどんどん入れてほしいと期待していますよ。

瀬戸:建設業界もテクノロジーの恩恵を受け発展できる部分は多いのですが、一方で人の手でしかできないこともある。それが何なのかを見極めるのは、現場の仕事かもしれません。日本の土木技術は世界一だと思っていますので、先人が築いてきたものをしっかりと継承し、今後も大成建設様のお力になれるよう我々も発展し続けていくことが使命だと思っております。

対談日:2020年9月